★**Old Fasshioned Lovesong**
投稿日 2004/4/8〜18(全4回連載) 作者 ユヅキ 綾瀬 HP MAIL
作品傾向--サイドストーリー/シリアス/コメディ
CP傾向--異性カップリング
出演--小林×女マネ
コメント タイトルは、某アカペラグループの新曲のタイトルから。友達から恋人へ、がテーマでございます。ヒロインがキリコ並みに素直じゃない気がします(苦笑)最後までギャグです。

例えばの話です。
あたしたちの友情が、ニセモノだったとしたなら?
誠実な話です。
あたしたちの関係が、今にも壊れそうだとしたなら?

**Old Fasshioned Lovesong**

「小林ぃ〜、英語の辞書貸して〜?つーか貸せや、コラ。」
「それが人に物を頼む態度か?・・・その前に、お前に貸すと、意味の分からん落書きをするから断る。」
「まぁっ!!ひどいわ、純直ちゃん!!あたしを捨てる気なのね!!」
「人聞きの悪いことを言うな!!」

あたしたちは、仲のいい友達。
あたしは、小林の、ただ一人の女友達。
いつもこんな話ばっかりしてる。
喧嘩するほど仲がいいのです。
たまに今ちゃんを巻き込んで、はでな喧嘩もしたりするけど、とても仲良しです。



インターハイで、金北に負けてしまった夜。
小林もいつになく饒舌で、今ちゃんも上機嫌で、あたしもとっても楽しくて、
夜が明けるまではしゃいだり。

NBAはおもしろいか、おもしろくないか、
なんて詰まらないことで、
喧嘩して、一日口をきかなくなったり。

インターハイで負けたときに、
桜井さんたち3年の追い出しパーティーで、
一緒に泣いたりしたけれど。


それも、今日でおしまいです。


あたしは明後日のバレンタインに、小林に告白する決意をしました。




・・・ついに来てしまいました。
女の子が殺気立つ、2月14日バレンタインデー。

あたしもモチロン作りましたよ。
小林用のブランデー入りパウンドケーキと、バスケ部員への生チョコ。
だってちゃん、女の子だもんっvv
・・・自分で言っててキモくなりました。

「おぅ、。おはよう」
「あ、今ちゃん。グッモーニ〜ン!!」
「今日も朝から元気だな(笑)」
「まぁね。今日も朝練はりきっていこ〜っ☆」

なんて話してる内に、体育館に着いた。
そこには、ヘコんでいる部員たちが。

「ちょっと、みんなどうしたっつーのさ!うっとーしいなぁ、爽やかな朝が台無しじゃないのよ。」
カバンからチョコの包みを取り出して、
「ほら、これあげるからシャキっとしなさいよっ!!」
といって、一人一人に渡していく。

「うおおぉ〜〜!!うめぇ〜!」
「俺、俺っ・・・義理でも嬉しいっす〜・・・。」
感涙するものまでいたりして。
「ただの生チョコなんですけど・・・」
そこまでモテないのかと、あたしはちょっと同情した。

「なにやっとるんだ!!練習始めるぞ!」
「あっ、小林!グッモーニ〜ン!!」
「・・・おす。ほら、早く準備しろ。」
「アイアイサー、隊長!!」
「馬鹿にしたような返事をするな!」


・・・そんなコトいわれても。
今日告るんだから、照れ隠しでもしなきゃ緊張しちゃうんだもの。
あぁ、何て言ったらいいのかな。
体温が上昇していくのがわかる。

、顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないのか?」
「っ!!きっ、気のせいじゃん?きっと寒いとこ歩いてきたからだよ!!」
「そうか?でも・・・無理はするな・・・////」
小林が、ポン、と軽く頭を撫でてくれた。
「ありがと・・・////」

これって、期待していいのかな?
小林は、他の女の子には、こんな風に接したりしないもん。
・・・それとも、マネだから?友達だから?
あたし、自惚れても、いいんでしょうか?


昼休み。
小林はとてつもなく不機嫌でした。
その原因は・・・
「こ、小林先輩っ!あの、これ・・受け取ってください!!////」
「・・・いらん。」
女の子が、チョコを渡しにくるから。
すげー迷惑そうにしてるし(苦笑)
1年の女の子は泣きそうだし・・・。
「そんな・・・どうしてですか!?」
「甘い物は苦手だ。・・・あと、好きな・・・女がいるか、ら・・・受け取れん・・・////」

・・・好きな、女・・・?
なんだ、じゃあ告ったって無駄なんじゃん・・・。 

愛してる
嘘じゃないわ
友達のままじゃ、もう辛いのよ
愛してる
そばにいてよ
恋人と、呼ばせてほしいから



その日の部活終了後。

「小林ぃ〜、これあげるよ!」
背後から、プレゼントの包みを投げつけた。
「いっ!!な、なにをするんだ!!痛いだろうが!」
「みんなにはあげたけど、朝練の時、小林には渡してなかったから。甘くないから食べられると思うよ。それから主将としてがんばってくれてるから、タオルも。部活の時に使ってね。あっ!!ちなみに、ホワイトデーは10万倍返しねっv」
「10万倍返し!!?」
「うそだよっ、じゃーね〜ん♪」



好きなんて言えなくて、あなたの横顔
ただ見てるだけ
好きなんて言えなくて、何度も何度も
何度も繰り返す
好きなんて言えなくて、
つっかえてしまって出てこない



私の恋は

この日、儚く散っていった





がくれるなら、例え義理だって嬉しいんだ。
たった一人の女から、義理チョコを貰うために
以外の女からのチョコは、すべて断った。
俺はもう、に溺れている。自分がつくづく馬鹿だと思う。
どんなにあいつを思っても・・・は、俺を友達としてしか見ていないのだから。

俺は1年の時も、と同じクラスだった。
彼女はいつも友人に囲まれて笑っていて、俺とは正反対だと思っていた。
もマネージャーとして、入学してすぐバスケ部に入部したが、特に仲がよかったわけでもない。は可愛いし、よく笑うし、明るい。
俺が気安く話しかけることなど、できるわけがなかった・・・あの日までは。

その日は朝から雨で、梅雨ということもあり、激しく降っていた。
俺は教室に傘を忘れたので、取りに行った。
そこに、彼女はいた。
「・・・、さん・・・?」
「こ、ばやし、君・・・」
は泣いていた。よく見ると、制服は濡れていて、ところどころ汚れていたり、髪に泥が付いていた。握りしめている傘も、破れていて使い物にならなそうだ。
「・・・どうかしたのか?何か、されたのか・・・?」
「あ、たしに・・・彼氏、とられたって・・・となり、のクラスの、子・に・・・言いがかり・・・つけら、れて・・・。あ、たし・・・何もしてないのにっ!!なんで、こんなこと・・・されなきゃ、いけない、の・・・?」
は泣き崩れた。
俺はどうしていいか分からず、とりあえず持っていたタオルで彼女の髪を拭いた。
「これ、着ろよ・・・その服じゃ、帰れないだろ・・・?////」
「え、でも・・・小林くんは・・・?」
「おれは、部活のジャージで帰るから・・・。駅まで一緒に行こう。立てるか?」
いつも無愛想な俺が、他人の心配をしているのが面白いのだろう。
は、小さく笑った。
「あたし、小林くんの2駅先で降りるの。一緒に、帰ろ・・・?」
「あ、あぁ・・・////」
は、すっかり落ち着いたようで、にっこりと微笑んだ。
その笑顔は、今でも脳裏に焼き付いている。

「・・・ん?」
包みを開けると、手紙が入っていた。
「"小林純直様へ、より"・・・?」
封を切って、手紙に目を走らせてみると、
「・・・何だ、これは・・・・////」
と、言わずにはいられない内容だった。

『小林純直様へ。
本当は面と向かって言いたかったんだけど、勇気が出ないので手紙にしました。
あたし、小林と一緒に帰ったあの日から、小林のこと、大事な親友だと思ってた。
でも、去年のバレンタインに小林が本命チョコ貰ってるの見て、なんか胸が痛んだのね。小林が他の子と話してるの、なんかヤだった。
それで、やっと気づいたの。
あたしは、小林が好き。大好きです。
もし、小林もあたしが好きだったら、明日の部活で、あたしがあげたタオルを使ってください。
やっぱり、あたしのこと友達としか思えなかったら、この手紙を捨てて、明日からもいつも通り接してください。
より。』

男と女の間にも
友情は成立するけれど
いつしか愛に変わっていたんだ
ずっと、言えなかったけれど
お前が気持ちを伝えてくれたから
俺も素直になろうと思うんだ。

「・・・・////」
家族にばれないように、無言でガッツポーズをしていると
「純直、風呂あいた、ぞ?・・・なにしてるんだ?」
兄さんが入ってきた。
「あ、いや、その・・・風呂、入ってくる!!////」
兄さんが変な顔して見てたけど構うものか。

あしたは、あのタオルを忘れないようにしよう。





あたしは、逃げています。

「待たんか、!!」
「絶対嫌ですっ!!」
「なぜ逃げる!?」
「あんたが追ってくるからでしょ!?このバカチンが!!」

小林から逃げています。

なぜ小林から逃げているのかというと・・・

「あれ、あれ・・・?手紙が、ない・・・?」
小林に宛てた手紙がないことに気づいたのが、昨日の夜。
「もしかして、っつーか・・・絶対小林読んでるよね・・・。」
マジですか!!?渡すつもりなかったのにーーーーー!!!

そして、来てほしくなかった朝が、来てしまいました。

あたしは仮病を使って学校を休もうとしましたが、母に見破られ、仕方なく学校に行くことにしました。
「おはよう、!!」
「い、今ちゃん・・・おはよ・・・。」
「どうしたんだ?が元気ないと、みんな心配するぞ?特に小林なんかは。」
「今ちゃん・・・今日はあたしの前で小林の話をしないでください・・・つーか今日は部活休んでもいいですか!?悪いけど休みます!!」
あたしはダッシュで今ちゃんの前から逃げ出した。
「あっ、ー!?」
振り返ると小林が、今ちゃんと何か話していた。

****

「今川、さっき、と一緒にいなかったか?」
「あ、小林!が、小林の話はしないでくれって。あと、今日は部活休むってさ。お前、何かしたのか?」
「今川・・・悪いが、俺も朝練は休む!!」
俺はを追って、全速力で走り出した。
「小林ー!!主将が部活サボってどうするんだよー!?」
確かにその通りだが、今はの方が大事なんだ。

****
教室に入って、席について、休憩中。友達とくだらない話をしていると。
!!」
「ひぃっ!!こ、小林・・・!」
小林が来た。
よく考えたらさ、同じクラスなんだしさ、隣の席なんだしさ・・・
教室にいたら見つかるに決まってんじゃない!!
あたしとしたことが大失敗!!?

「こ、小林・・・朝練は?」
「休んだ。、なぜ逃げる?話がある、だから逃げるな。」
「その話ってーのが聞きたくないのよ!!」
あたしは再度猛ダッシュ。何で朝からこんなことしなきゃなんないの!?
、待て!!!」
どうやら、小林が追いかけていたらしい。
いきなりケンカ(?)をし始めたあたしたちに、教室内にいた人たちは呆然としていた。
そして廊下を爆走するあたしたちに、廊下にいた生徒は呆然としていた。
でも、そんなこと気にしてられない。
今のあたしは、小林から逃げ切ることが最優先なのだ。

****

を見失った。
「なんて逃げ足の速いヤツだ・・・」
俺はバスケ部だし、運動神経もそれなりにいい方だ。
走るのには自信がある。
に振り切られるとは・・・。にしてもあいる、成瀬並みのダッシュだったな・・・。」
独り言を言いながら走っていると、保健室のある棟に来ていた。
は白石先生と仲がいいし、もしかしたらいるかもしれない。
だがこのまま保健室に行くと、授業をサボる事になる。
「・・・行ってみるか。」
初めて、授業をサボる羽目になった。

****

「美保先生ぇ〜、匿ってぇ〜!!」
「あら、さん。匿って、って・・・誰かから逃げているの?」
「小林から逃げてんの!!!」

あたしは美保先生に、なんで小林から逃げているのか、洗いざらい話した。

「・・・でも、どうして小林君の話を聞かないの?」
あたしは軽〜く脱力した。話、聞いてなかったのかな?
「だから、小林には好きな子がいるんですってば!!」
「でも、もしかしたら・・・それがあなたかもしれないじゃない。
小林君が好きな子って、あなただと思うわよ?小林君が仲のいい女子は、あなただけだもの。」
確かに・・・他の子は、怖がって小林に寄りつかないし。
「そっか・・・そこまで考えてなかった!!」
「それに、あなたみたいな可愛い子、振ったら私が承知しないわ!!」
「ありがと、美保先生!・・・でも、小林が来たらさ、ここには居ないっていってくれる?」
美保先生は怪訝そうな顔つきになる。
「どうして?まだ分からないじゃない、彼がどう返事をするか。」
「だって、心の準備できてないもん。覚悟決めてから、あたしから小林に会いに行く。」
「そう?分かったわ。」
「じゃ、あたしはベッドにいるから。」

****

−コンコン、と軽くノックをすると、
「はぁい。」
と返事が返ってくる。

「あら、小林君。」
、来てませんか?」
さん?いないわよ?」
「そうですか・・・失礼します。」

保健室を出ようとした瞬間、ガシャン!!という音と、
「ぎゃ!!」
という声がした。
紛れもなく、の声だ。

シャっ!、とカーテンを開けると、顔面蒼白になっているがいた。
・・・。」
「こ、小林・・・やっほー。」
「や、やっほー・・・。」
につられて、言い返してしまった。
「・・・あはははははっ!!何それ!小林がやっほーって・・・あははっ!!」
「・・・そんなに笑うな・・・。」
笑い転げるに、少々あきれる俺。
しばらくしてから、の笑いが止んだ。

「あのさー、小林。逃げてごめん。・・・話、聞くから。」
「あ、あぁ・・・。」

振り返ると、白石先生は居なくなっていた。

「率直に言う。・・・俺は、が好きだ。お前と初めて話したあの日から。
ずっと、好きだったんだ。タオル、今は持ってきてないけど、好きなんだ。
・・・俺と、付き合ってくれ。・・・いや、付き合ってください。」
「よ、喜んで・・・////」

愛してる
そばにいてよ
友達のままじゃもう辛いんだ
愛してる
嘘じゃないよ
恋人と呼ばせてほしいから

回り道ばかりだったけれど、俺たちは晴れて恋人になった。



**THE,END**



☆☆おまけ☆☆

その日の放課後、部活の練習に励んでいると。

「よぉ、小林!!」
「希理子さん。何か用ですか?」
「いや、重大ニュースを発表しようと思ってねぇ。」

そこに、洗濯を終えたと今川がやってきた。

「あら、希理子さん。何ですか、重大ニュースって?」
「今に分かるさ。おい、小林!集合かけな。」
「は、はぁ・・・?」

集合の号令をかけると、続々と部員たちが集まってきた。

「おい、カサハリ!!何なんだよ、重大ニュースって?」
「俺は知らん。全員集まれば、希理子さんが話すだろう。」

「よし、全員集合したね?じゃ、話してやろうかね。」

希理子さんはおもむろに写真の束を取り出し、それをばらまいた。

「こ、小林ぃ〜・・・これ、あたしたちだよ・・・////」
「・・・こ、これ・・・今日の・・・!?////」

その写真には、俺とがキスしている所が写っていた。
確かに告白の後、俺たちはキスをした。
だが、誰もいなかったはずだ。

「あんた達、誰もいないと思ってたみたいだけどな、あたしゃ隣のベッドにいたのさ。カーテンの隙間から撮ったんだよ。これからは場所を考えてするこったね。」

ケケケ、と希理子さんの笑いが体育館に響く。
を好いてた部員は他にもいたようで、俺は散々文句を言われた。

これから、校内でこんなことをするのは、絶対にやめようと誓った。


☆☆おしまい☆☆
感想はコチラか作者さんのメール↑へ。