★私の心と脳の関係
投稿日 2004/2/28 作者 影山 希久美 HP MAIL
作品傾向--ゲームと原作のミックスで女マネ×三上至上でドリーム小説
CP傾向--異性性カップリング/女マネ×三上
出演--三上×女子マネ&真琴
コメント ホワイトバレンタインのお話。(作品中、協力者に真琴君が出演するものの、三上さんは殆ど出てきません)

 誰かを好きになるこの感情は、いったいどこから来るものなのかな?

 心を感じる胸のあたり?
 それとも医学的に脳?

 でもね、私は心と脳の両方から三上さんを好きだって思うの・・・・・・。





 夏のインターハイで、私は三上さんと出会い、たった3日間で初めて人を好きになってしまった。

 ずっと温めてきたこの気持ちを、翌年のバレンタインに、心を込めた手作りのトリュフと告白の言葉を書いたカードを添えて、私は三上さんに送った。

 初めての告白だから、本当は本人を目の前にちゃんと言いたかったのだけど、コーチがいなくなって新しいバスケ部を確立させて忙しい三上さんに会いに行って、私の為に時間を割いてもらうわけにはいかなかったから、文字通り、筑波のバスケ部の三上さん宛てにチョコを送っのだけれど・・・・。

 それからの連絡はチョコが無事に着いた事と、お礼の言葉が書いてある簡潔な内容のメールが1通。

 私の精一杯の告白については、一切触れてなかった。

 三上さんと恋人同士になれるなんて期待していたわけじゃない。

 三上さんは本当に素敵な人で、とてもモテるみたいだし、私みたいな数日間しか会っていない子を好きになるかもしれないだなんて思うほど、私は夢見たりはしないけど、でも、返事くらいはくれると思っていたのにな・・・。

 今日はホワイトバレンタインの日。

 先月のバレンタインにあげた義理チョコのお返しは、部活が始まる前に全員からもらった。

 今の私は期待半分、諦め半分な気持ちで、とぼとぼと歩いて家に帰っている。






 期待しているのは、家に帰ったら三上さんからお返しが郵便かなんかで届いているのではないかという期待。

 諦めは、あれからずっと何も連絡がないということは、三上さんがなんて言って断ればいいか困っていて、今日は何も送ってこないだろうって諦め。

さん!」
「え?」

 いきなり聞き覚えのある声に顔を上げれば、そこには私服姿の真島さんが立っていた。

「ま、真島さん!」
「こんばんわ」

 人懐っこい笑みを浮かべ、目の前にいる真島さんに、もしかして三上さんも一緒にいるのではないかと思って辺りを見てみたのだけど、残念なことに、真島さん1人だった。

「こんなところに、どうしたんですか? 部活なら終わっちゃって、もう、みんな帰っちゃいましたよ」
「あ、いいんだよ。用があるのかさんだから」
「私、ですか?」

 一瞬、なんだろうと首をかしげた私の目の前に、真島さんはあるものをぶら下げる。

「はい、圭悟からのお返し」
「・・・・・・」

 目の前にぶら下がって見える物は、可愛いハート柄でラッピングされたもので、中身が見間違うことなく見える。

 ビニールのラッピングに包まれているのは、キャンディーのミルキー。






 つまり、義理のお返し・・・・・・。





 それを理解したとたん、目頭が熱くなってしまう。

 お返しが義理でも良かった。
 でも、私に来てくれたのがどうして本人ではなく、真島さんなの?

 それなら宅配なんかで送ってくれた方が良かったのに・・・。

「・・・三上さん、忙しくて真島さんに頼んだんですか?」

 もしかして・・・と、思った私は、そうだったらいいと言う望みをかけて真島さんに聞いてみた。

「あー、・・・えっと、僕が、無理やり奪い取って届に来たんだ」

 言葉と裏腹に、真島さんは言いにくそうに言いながら、私から視線を逸らした。
 それで真島さんが嘘を言っているのがわかる。






 私の気持ちは届かなかった。

 しかも、返事さえも言ってもらえなかったのだ。




 泣きたいほど哀しかったけど、目の前に真島さんがいるのでは泣けない。


「そうですか・・・。わざわざありがとうございます」

 涙をぐっとこらえ、ミルキーの入ったお返しを受け取り、真島さんに頭を下げる。

「あっ!! 袋を開けて確認しないでしまっちゃうの?」

 貰ったお返しをカバンに仕舞おうとしたら、真島さんが驚いたように声を上げた。

 袋を開けるも何も、中身が見えるんだし、今更確認するまでもないと思う。

 どう見ても、ミルキーを2、30個入れたラッピング袋をリボンで縛っただけの簡易ラッピングで、カードすら入れられるような大きさではない。

「開けて確認しなくても、中身が見えますし」
「え? ああ〜そうだぁ〜!」
「?」

 私に言われて気付いたにしては、真島さんは何か別なことで焦っているように見える。

「じゃ、じゃあ、それ、1つくれない?」
「はい?」

 いきなり三上さんのお返しを中を開けて確認しないのかと聞いたり、1つ欲しいと言ったり、真島さんの行動から、私はある結論を出した。

「・・・中にミルキー以外のものが入っているんですね?」
「!」

 図星。

 そんな言葉がぴったりなほど、真島さんが固まった。

「・・・ビックリさせようと思ったのに、失敗しちゃった。ごめんね」
「いいえ、いいんです。じゃあ、開けて中身を確認しますね」

 うなだれてしまった真島さんに笑ってみせると、私はラッピングのリボンに手をかけた。

 考えたら、ミルキーの中に何か入っているってことは、義理のお返しじゃないってこと?
 でも、そうだったら・・・・・・って期待したら後が辛いよね。





 そんな自分の考えにちょっと苦笑して、リボンをスルリと解く。

 開けてみると中に、ごく普通の透明なビニールに入ったミルキーが入っているのがわかった。

 ・・・・・・って、あれ?
 1つビニールからこぼれている。

 不思議に思ってそれを1つ指でつまんで出してみると、ミルキーの包み紙のネジっているところに透明な糸。
 つり糸か、テグスがついていて、その先にビニールの中のミルキーがついていた。

 引っ張ってみると、ミルキーがまた1つ、また1つと連なってビニールから出てくる。

「?」

 全部出した先には、2センチぐらいの小さな封筒が付いていた。

 糸はその封筒の中に続いている。

「???」

 私は何が何だかわからないまま、その封筒を開けてみると、中から小さくて可愛いルビーのついたペンダントが出てきた。

 さらに糸の先っぽが、封筒の中にカードについている。




 私はペンダントをしっかり握り締めたまま、カードを取り出してみた。

 中に書かれた文字は一言。






『君が好きだ』






 そして目の前にいたはずの真島さんはいなくなっていて、変わりに、少し赤い顔をした三上さんが立っていた。





 私は、糸で鈴なりに結ばれたミルキーと、ペンダントとカードを握り締めたまま、唖然とした顔で三上さんを見上げる。


「君が好きだ」


 目の前にいる三上さんが、カードに書かれている言葉と同じ言葉を言う。





 涙が私の意志とは関係なくこぼれる。




 私は三上さんが好き。





 私の気持ちは、どこからくるの?

 それは私の心と脳で感じること・・・・・・。









「私も三上さんが好きです・・・」

 涙が止まらないけれど、私は三上さんに笑ってそう言えた・・・・・・。










                     END
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