それでも僕は弱いから
投稿日2003/07/30 作者矢雲真 サイト メール
作品傾向--シリアスっぽいの。キスあり。
CP傾向--同性カップリング
出演--小林×今川
コメント 今川が膝を故障して2週間。
キャラあんまり掴めてないのに書いちゃダメですね・・・・・。
すみません。新参者の癖に。
すごくすごく一生懸命で。すごくすごく勝ちたくて。
俺の足は使い物にならなくなった。試合に負けて勝負にも負けて。
俺はバスケを失った。








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それでも僕は弱いから

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「バスケがもうできない」と言った医者の言葉と顔が頭から離れない。試合から暫く、俺
は学校を休んだ。勿論部活も。行く意味がなかった。桜井先輩達からは何のフォローもな
かった。あったらあったでイライラするだけだと思うけど。憎しみは何も産み出さないん
だと必死に自分に言い聞かせた。
それから二週間、酷く暇だった。家でごろごろして何かを考えてた。ゲームも勉強もやっ
たが手がつかない。バスケがしたかった。そんな俺の家には毎日毎日小林が来た。
部活が終わって、俺の為を思ってかわざわざ着替えて。







「今川」
「入りなよ、小林」
俺は毎日部屋に招き入れた。小林は話すことが苦手だし、大して話題はなかったがいるだ
けでよかった。それでも俺はたまに一人で話した。ベッドに横たわりながら。


「なぁ小林。素直に答えてよ。俺って今、笑ってる?」
「....お前がツラいのは分かってる」
「それでも?」

「.....笑っているように見えるかもしれない」


素直な小林が好きだった。
不器用で優しい嘘すら吐けない小林が。それでもその純粋さが酷く残酷。









「....俺、悔しいよ。勝ちたかった。まだバスケしてたい。近くにいると自分のヤルせな
 さを感じるから嫌なんだ」
「今川」

「俺の人生を壊したあいつらが憎い。殺してやりたいよ。同時に俺が死にたい....ッ」
ボロボロ涙を溢しながら泣いた。目を腕で隠しながら。枕は濡れていく。
「こんなにこんなに辛いのに笑ってるように見える自分が大嫌いなんだ。悲しいのに。悔
 しいのに」

「....今川ッ」
小林が座ってた椅子を下りて俺のところに寄ってくる。
ベッドに体重をかけて俺の胸元を掴む。それから手を払う。一瞬のようだった。




「何、だよ」










「好きだ」


小林はキスを、してきた。俺の口を引き寄せて。
舌は入れられなかったけど熱かった。あったかかった。
泣けてきた。
「一生懸命なとことかバスケが好きなとことか諦めないとこ、とか」
「小林...?」

「自分を嫌いになるな。俺は、口下手だからうまく言えないけど。お前と、バスケしたい
ッ・・・・・」
腕で真っ赤な顔を隠して。小林は嘘を吐かない。素直で純粋な小林が好きだった。俺の両
肩隣についた小林の腕が俺の頬にのびた。




「好き、なんだ」




酷く苦しそうに。俺は泣くしかなかった。
そんな俺に小林はまたキスした。



「....マネージャー、やらないか?俺がお前の分も戦うから」

「バカ、だなぁ。小林は」


顔を押さえながら一言呟いた。
それから俺はマネージャーになった。
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