マーブルチョコ
投稿日2003/05/20 作者夜澄 サイト メール
作品傾向--ほのぼの/原作
CP傾向--同性カップリング
出演--澤村×成瀬、フープの皆さん
コメント ちょっと考えてみる成瀬。とっても短いです。
成瀬は時々、ふと考えてしまう。
自分と澤村は何故、付き合っているんだろう。
そんなものは好きだからに決まっている。澤村だってそうだと信じている。
だが、澤村と成瀬は面白いくらい好みが合わない。
スクラッチのメンバーは全員好みが合わないのだが、二人の場合は全くの正反対と言っていい。
食べ物の好み、服の趣味、朝型夜型、その他諸々、一つくらい合ってもよさそうな物だが『お前もそれ好きだったんだ気が合うね〜』と言う事が一回も無いのだ。
澤村はこんなにも合わない自分と一緒にいて落ち着くのかと考える。自分とは違って人三倍は警戒心が強いはずなのにと。
考え始めると止まらなくなり、考えて考えて、脳みそがショートしてやっとその考えが終了する。
そしていつも答えが出ない。
こんなに合わないのに何故好きなのか?
好きになってくれたのか?
疑問はいつまでも疑問のままだった。

「何か一つだけでも合ってくれればなぁ、こんな不安は消し飛んでくれるのに・・・」

呟いてみても、それは何の意味も成さなかった。


「ねーみんな、チョコ食べない〜?」

ある日のフープ、バスケの合間の一休み中の事だった。

「チョコって何の?」
「ほらこれ、マーブルチョコ」
「あー、ちっちぇー頃よく食ったな」
「おれもー」

デッパが持ってきたマーブルチョコに皆が懐かしそうに口々に言った。ちなみに出所はパチンコらしいが、よく補導されなかったものである。

「皆、何色がいい?」
「あたし、青いの」
「俺は緑な」
「成瀬はー?」
「おれは、ええと、茶色」
「「ええー?」」

成瀬が示した色にみずきと浩介が非難めいた声を上げた。成瀬は訳が分からず目をパチクリとさせる。

「な、なに?」
「おめぇ、なんでわざわざそんな地味な色選ぶんだよ?」
「え、チョコレートっぽくていいじゃん」
「それじゃマーブルチョコの意味がないじゃない」
「お前ら何騒いでんだ?」

成瀬が散々言われている真っ最中に澤村が現れた。
ちなみに一応時間を決めて集まったのに、堂々と遅刻である。しかも欠伸付きで。

「あ、澤村もこれ食べる?」
「また懐かしい食い物持ってんな。一つくれよ」
「何色がいい?」

成瀬は澤村が来たのに気付いて、話し掛けようとするが二人に捕まっている為に中々声をかけれらない。

「じゃ、茶色いのくれ」

それを聞いた瞬間、不覚にも涙が出そうになった事を澤村は知らない。

たった一つしか合うものが無いのではない。
それは掛け替えの無い一つだった。

不安を取り除いてくれたのは、色とりどりの中、たった一粒。
マーブルチョコレート。
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